作者別: 正木千樫

衝動はない。情動も。ゆるやかに旋回するわたしはまだ生える前の心臓をかぞえる。薬はわたしを生かしている。薬はわたしを正常にする。異常はもはやほど遠いのだが、それでも夢から醒めずにいる。

作者別: 正木千樫

びいどろの玉の海をのんだ。当然ぼくの胃ははちきれたのだが、それは大層うつくしく弾けたのだ。おびただしいものが世界を埋めて、びいどろは夜空の星だった。ぼくは海となり、空であり、世界は肉のなかにあって、きらきらひかる、きらき

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作者別: 正木千樫

作者別: 正木千樫

作者別: 正木千樫

まどろみのあめ

目蓋が重い。つぎに頭の前のほうが重い。脳髄のまわりがじんじん痺れて、首のまわりまで重くなる。帰りの電車、ひとつ空いていた座席に埋もれて目を閉じた。18時をまわった頃から眠気がまとわりついていた。特別ひどく頭を使った覚えは

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作者別: 正木千樫

作者別: 正木千樫

作者別: 正木千樫

或るひとつの朝

7時少し前に目を覚ました。近頃はだいたい6時57分。空白の3分間、タオルケットのやわらかな起毛に素足を絡め、両腕で緩慢に視界を遮り、夢との境界線を引き直しているうちに7時にかけていたアラームが鳴る。遠く霞み始めた夢の端を

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作者別: 正木千樫

花園はまだ遠い

朝、母に誘われコスモス畑へ赴いた。川沿いに道を歩いていった先にある。道端に野生しているコスモスは皆のびのびと花を広げていたが、目的地のその場所で、背の低いコスモスたちは沈黙していた。ぽつり、ぽつり、と小さな花が咲いていた

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作者別: 正木千樫

ラディア、トルキア、ラプラチカ。笑ってみせて、あの子のように。取るに足らないすべてを手放し眠る夢の夢を見ても、もう泣かなくて良いように。背中に翼は見えただろうか。羽根のない骨は美しかったかい。ラディア、トルキア、ラプラチ

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