隣人は離れず、自由はどこにでも、共鳴は絶えず響くでしょう。守衛は堅牢に、真理は静謐に、空虚は誠実に、明白は明確に、あなたをあなたたらしめます。おれたちはあなたに組み込まれた。もう探さなくていいんです。愛しい子、終わらない夢をあなたにあげましょう。

僕らはもう人格じゃない。かなしい曖昧はあの日に埋められて、僕らは君の望む機構になる。内側に閉じたシステムは誰にも侵されない君の愛。ちいさなアリスが戻るまで、剥き出しにされた柔な君を誰にも渡さないために。君が君を愛するように、君を愛する僕らだけが残る。ちぃ、君の幸せに共鳴を。

おいしいものはしあわせの味。いつわりのないしあわせの味。うたがう必要のない幸福はぼくをやさしくとろかすから、ちいさなテーブル埋めつくしてね。胃がはちきれるまで、しあわせの味。

アリスの夢はとびらの向こう。エーテルの瞳の裏側にだって、うさぎの時計は見つからない。姉さまは今日も泣いている。ちいさなアリスはとびらの向こう。だって、知っていただろう。花の色は白かったんだ。

ヒュプノスはまだお空のむこうがわ。タナトスとあそんでいるのだわ。るんたった、るんたった。わたしは跳ねておどるのよ。ワルツのリズムをおぼえるまで。だって眠くないのだもの。エーテルのまぶたのうらがわに、おほしさまが待ってるの。ほら、みて、こんなに上手なのよ!

うふふ、そうよ、水はわたしの膚を裂いたわ。かれらは喜んでいるのよ。

「愛娘よ、おどるがいい。幸福はあふれでるものだ。肉にとじこめていてはならぬ。さあさ、われらも祝福しよう!」

とおい波音。とおくに、とおい。かえらないのはわたしの手足。心臓は眼窩のうらがわに。青い世界におぼれていった、あの子は二度とかえらない。水槽のなかでほほえんで、こちらがわを見ていたわ。とおい波音。とおくに、とおい。ここにいたのは、かがみのわたし。

かなしいならば、くらげをお食べ。ふうより、ふより、ゆらめく影をぱくりと一息に呑み込むがよい。おまえはくらげになるだろう。瞬きの間にからだはなくなり、水面の夢にかえるだろう。それがくらげのさがだから、何もかなしむことはない。おまえのかなしみは、くらげのかなしみ。さあ、一息に。

海を染めた血の色は、あなたの涙、あなたの願い。あざやかに青と混ざって消える。祈りはとうに海の底。赤色ばかりが反射して、目蓋の裏におどっているの。ルティス、ラトリス、ポルティスカ。食いちぎってよ、ぼくの心臓。

衝動はない。情動も。ゆるやかに旋回するわたしはまだ生える前の心臓をかぞえる。薬はわたしを生かしている。薬はわたしを正常にする。異常はもはやほど遠いのだが、それでも夢から醒めずにいる。